立ち上げの経緯
法人設立の目的
本県は30余年、子ども出生率が全国一ですが、子どもの貧困も全国一であり、生まれてくるすべての子どもが安定した環境の中で育っているとは言えません。
また、10代の女性の妊娠・出産の割合も全国の2倍強であり、その背景には、望まない妊娠や、予期せぬ妊娠で、それでも新しい命の誕生をおもえば、不本意ながらも生ざるを得ない女性たちがいることも一因であると思われます。
そのような女性たちに早期に支援の手を差し伸べ、貧困の再生産を防ぎ、どのような環境に生まれようとも、親子ともに安心して暮らせる社会の実現をめざしていくことを目的に、2018年2月20日、当法人を立ち上げました。


事業立ち上げの動機
2015年9月、沖縄本島中部の団地敷地内に、生後間もない女児が置き去りにされた。幸い命に別状はなかったが、中学三年の女子が保護責任者遺棄の疑いで逮捕された。
「置き去り疑い中3逮捕」という新聞記事の見出しに衝撃を受けた。14歳という年齢は、児童福祉法で守らなければならない対象であり、逮捕されるべきは、少女ではなく、周囲の大人たちではなかったかと憤った。
「どうしたらいいか分からなかった」と、少女は供述していたということであり、周囲に誰も相談できる環境ではなかったということは、まさに「関係性の貧困」が伺えた。
子どもを置き去りにした少女は、決して生まれた子どもを遺棄したのではなく、「誰かに子どもを助けてもらいたい」という思いで、子どもを人目につきやすい場所に置いたのではないかと思われる。
このことから、もしかして妊娠?と、一人で思い悩んでいるその時から、少女たちが気軽に相談できる相談機関を立ち上げることにした。
2016年7月2日、那覇市泊の路上のベンチに、生後間もない男の乳児が置き去りにされた。へその緒は産んだ親が自分で処理したと思われ、布製の買い物バッグの上に服を着たまま置かれていた。
乳児が着せられていた洋服は、産着でもベビー服でもなく、5歳児サイズの赤いTシャツで、これより子持ちの女性だということが推測される。
幸い、命に別状はなかったが、母親はその後の警察の捜査にも拘わらず、自ら名乗り出てくることはなかった。
なぜなら、現れると母親は即逮捕となり、上の子どもたちの世話ができないからではないかと思われた。
もし県内に、予期せぬ妊娠や出産をして、育てることができないとしても、気軽に相談できる民間の相談機関があれば、犯罪者にならないで済んだであろうし、一生我が子を遺棄した罪に胸を痛めながら逃げ隠れしないで済んだのにと悔やまれてならなかった。
それと同時に、遺棄された子どもは、もし母親が現れなければ一生自分がどこの誰かもわからず、出自に悩みながら生きていくことになる。
そのような親子を救うために、県内に民間の特別養子縁組を斡旋する事業を立ち上げることにした。